連載 知っておきたい,これからのメンタルヘルス・5
産業メンタルヘルス
保坂 隆
1,2
1聖路加国際病院精神腫瘍科
2聖路加看護大学大学院
pp.440-443
発行日 2011年5月10日
Published Date 2011/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101603
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最近の産業メンタルヘルスの動向
産業メンタルヘルスへの厚生労働省による具体的な取り組みの最初は,1988(昭和63)年に提起された「トータル・ヘルス・プロモーション・プラン」(THP)でした。そしてその次の取り組みとして,1999(平成11)年9月に公表された「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」があります。これは企業の従業員が精神障害を発症した際に,それが業務に起因しているもの(労災)かどうかを評価する際の指針を示したものでした。そのため,この指針が発表されてから後は,労災申請された精神障害は増加しつづけ,最新のデータによれば,2007(平成19)年には952件になり,うち268件が労災として認定されるようになりました(表1)。
このような事態になってきますと,過労によると思われる自殺については,遺族が民事訴訟を起こすようになりました。とくに2000(平成12)年3月の,大手広告会社の社員が過労自殺したと思われるケースの民事訴訟における最高裁の判決は注目されました。
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