連載 シリーズ生活習慣病予防 住民の力を引き出すグループ支援を学ぶ・5
習慣化を見る―石川県七尾市の実践例から
津田 博美
1
,
藤井 広美
2
1七尾市健康福祉部健康推進課
2社団法人日本看護協会事業開発部
pp.1136-1141
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101116
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モデル事業を実施した背景
七尾市は,面積317.96km2,人口6万576人,老年人口27.8%,天然の良港として栄えてきた七尾港を海の玄関口とし,古代より能登の政治・経済・文化の中心地として発展を続けてきた地域です。2007(平成19)年度の基本健康診査の受診率は33.6%,うち耐糖能異常境界域の割合は27.1%,最も多い年代層は60歳代で約31%でした。ここ数年は個別対応の相談体制で糖尿病健康相談を実施してきました。
これまで実施してきた健診結果にもとづいた保健指導は,数値(データ)が住民と私たちをつなぐ媒体で,突出した数値に対する断面的な保健指導が主流でした。指導内容も面接者と被指導者間のブラックボックスで,誰からも評価を受けない体制でした。面接の場面では「なんとかやってみます」とこちらの指導を聞き入れてくれても,次年度のデータは改善せず,何も生活習慣改善につながっていなかった経験が多く,「なんかあれば医者へ行くから」と答える自覚症状のない対象者に対する指導の難しさを感じていました。
そうしたなか特定健診・特定保健指導の準備期間を迎え,2007年度,保健指導のスキルアップのため,日本看護協会の技術支援をお願いしました。現場には老人保健法の個別健康教育の手法で健診事後指導を実施してきた保健師が多く,「ほかにもっと動機づけ・行動変容につなげられるプログラムはないのか」という思いもありました。
七尾市では,2007年5月29日の第1回プログラムから約8か月にわたって,65名の参加者とプログラムを展開しました。今回は,第5回の「習慣化を見る」の内容を報告します。
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