21世紀の看護を考えるルポルタージュ ホスピスへの遠い道—マザー・メアリー・エイケンヘッドの生涯・11
われわれはいま,どんな時代に生きているのか
岡村 昭彦
pp.104-111
発行日 1984年2月25日
Published Date 1984/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907936
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4月18日,大韓航空(For New York)の乗客たち
ワシントンに飛び立つ前日の日曜日の午後,私は要心のために浜名湖畔の潮風の吹き込む書庫から,東京に移った.万一,新幹線が不通になった場合を考慮してのことである.医学書院が確保してくれたのは,会社のすぐ近くの本郷3丁目にある‘機山館’というビジネス・ホテルで,私はその穴のような小部屋で,汚染された空気に息をつまらせながら,一睡もせずに“看護教育”の連載の残りを書き上げた.
—時計はすでに午前10時を過ぎていた.朝食をとる時間もない.出発は13時30分である.おまけに,今朝は京成電車がストライキのため,箱崎のインターから出るバスは,混雑することが予想された.ポルノ・ビデオはあるくせに,トランクはベッドの上でしか開くことができぬほど狭いシングル・ルームを,やっと抜け出し,原稿をカウンターに預けると,私は玄関前に待たせてあったタクシーに,成田まで直行してくれるように頼んだ.
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