特集 チーム医療の中のPOS—第14回POS研究会報告
教育講演
大学病院におけるPOSの実践と問題点
山木戸 道郎
1
,
江草 玄士
2
1広島大学医学部
2広島大学医学部第2内科
pp.904-907
発行日 1992年11月30日
Published Date 1992/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903627
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医学における近年の技術進歩には目を見張るものがあり,患者に多くの福音がもたらされている.しかし一方で患者と医療サイドの軋轢が増えつつある事も指摘されている.このギャップの大きな原因は,疾患に対する診断,治療技術の進歩にまどわされ,患者を人間としてとらえる医療が見失われつつあるためと考えられる.Hard,Soft両面における医療技術の進歩を積極的に取り入れ,無駄のない質の高い医療を行なうためには,看護婦,医師を中心としたチーム医療が必須である.このチーム医療を効率のよい優れたものにするためには,看護婦,医師間の情報交換と相互利用が極めて重要であり,その基本が科学的で誰にもわかりやすいカルテの作成にある事は言うまでもない.
POSの患者の医療上の問題を抽出し,それに対する科学的な取り組みを可能にするカルテ作成手段として,その普及が広く求められている.大学病院は診療機関であると同時に教育機関としての機能も求められ,このようなシステムに積極的に取り組む必要がある.著者らは医師,看護婦へのアンケート調査をもとに,広島大学附属病院におけるPOS実践の現状と問題点を検討してみた.
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