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准看護婦・士の「移行教育」受講意思に関わる要因の研究―自治体・公的病院を中心とした准看護婦・士1552名への調査結果から
林 千冬
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.212-218
発行日 2001年3月25日
Published Date 2001/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902467
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はじめに
1999年4月,厚生省「准看護婦の移行教育に関する検討会報告書」が発表された.この「報告書」で提言された移行教育は,「准看護婦としての経験10年以上の者を対象とし,5年間の期限付き」で行うというきわめて限定的なもので,ここに示された930時間・31単位というカリキュラムを,就労中の准看護婦・士が受講・修了するためには多くの困難が予想される.
移行教育に関しては,「安易(簡単)に資格を取得させることになる」という誤解や,「養成停止前の開始は養成存続につながる恐れがある」などの消極論が根強いが,筆者は,一刻も早い移行教育の開始こそが,准看護婦・士の潜在的な能力を引き出し,わが国の看護サービスのレベルアップに直結すると同時に,准看護婦養成停止への「追い風」にもなると考えている1).移行教育を成功に導くためには,決してこれを「制度あって実態なし」という事態に陥らせないことが必須条件である.すなわち,ひとりでも多くの准看護婦・士が受講することこそが最も重要であり,そのためには就労准看護婦の生活・労働実態に即した受講支援体制が不可欠である.
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