特集 省察的実践者を育む─ショーンからの提起とともに
扉
pp.977
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200876
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
確立された技術を学び,実践に応用する,という従来の「専門職」観を脱却し,自身の行為を,変化する状況のなかで振り返りながら実践していく,という新たな専門職の実践「省察的実践」を打ち立てた『省察的実践とは何か』(2007年),そして2017年に翻訳が刊行された『省察的実践者の教育』は,世界の教育学・看護教育学の論文でも膨大な引用数を誇ります。著者であるショーンは,現在もっとも影響力をもっている学習理論家の1人だと言えるでしょう。
しかし同時に,ショーンほど誤解されている理論家もいないかもしれません。ショーンの著作に「正解」や「マニュアル」「わかりやすい定義」を求め,それを学んで応用しようという,多くなされているこの読まれ方こそ,まさにショーンが否定しようとした,古い専門職の姿勢に他ならないからです。ショーンを読むということは,語られた事例に自身の実践も照らし合わせながら,実践の意味,また実践の背景となった,思考のフレームを組み替えていくことを意味しています。そのような省察によってこそ,専門職としての学びが得られることが,ショーンの重要な提起だといえるでしょう。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.