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●【特別寄稿】「臨床看護師から教員へ:10か条」から
日本は例年になく暑い日々が続いているそうですが,皆さんはどのような夏をお過ごしでしょうか。アメリカではこの時期,進路や就職で多くの方が人生の転機を迎えます。そんななか,長年臨床看護師で働いた後,博士号を取得して教員の道に進んだ教授が書いた,臨床看護師から教員になるための「5つの“P”と5つの“M”」が今号のJNEに載っていたので,ここで紹介させていただきます。
まずは(1)Passion(情熱):研究者として歩む道には,長くさまざまな困難が立ちはだかるでしょう。自分の仕事や研究内容に情熱をもち続けることができなければ,途中で意気消沈します。情熱を失わないためにも,多大な自分の時間やエネルギーを投資してもよいと思える研究内容を見つけることが大切です。(2)Planning(計画):長い研究者としての道は計画に則って行動しましょう。計画は,仕事のみではなく私生活とのバランスの取れたものでなければなりません。(3)Pursuing(追求):教員としての新しい世界を学ばなければなりません。教員として利用できる学校の施設,ITや統計学者によるサポートなどを積極的に模索しましょう。また,自身の研究内容のエキスパートを捜し求める必要もあります。(4)Publishing(出版):研究の論文出版は必要不可欠です。研究を発表して,医療をさらに充実させるためにも研究結果に沿った実践を促すことが大切です。また,研究費補助金の申請をする場合,出版物の内容や数が大きく評価されます。(5)Persistence(粘り強さ):研究費補助金の申請書や論文が通るまで,何度もやり直しが必要になるでしょう。諦めずに,間違いを改めて何度も粘り強く手直しをすることが大切です。イギリスの詩人,ウィリアム・ブレイクは「諦めるという間違いより大きな間違いはない」と言っています。(6)Money(費用):研究者や教員を続けるためには,資金が必要です。特に研究に力を入れている大学の教員は,研究費を絶やさず取ってくることが求められます。(7)Mentorship(良き指導者):仕事でもプライベートでも,良き指導者であり相談相手がいなければなりません。ひとりの人間があなたに必要なものをすべてもっていることはないでしょう。あなたが興味ある分野の複数のエキスパートや教授と良好な関係を築き,研究面だけでなく人生のアドバイスをもらいましょう。(8)Making Connections(コネクション作り):自身の研究分野のエキスパートや研究仲間とコネクションを作るのが大切です。近年のハイテクによって,コネクションが作りやすくなったことはありがたいことですね。また,学会に参加して積極的に新しい知り合いを作ることも大切です。(9)Managing Time by Managing yourself(自身管理で時間も管理する):一日の時間は限られています。限られた時間を有効に使い,自分自身を労わる時間も必要です。一日たった30分でも論文や申請書に費やせば,塵も積もれば山となります。(10)Maintaining Physical and Psychological Well-Being(心身ともに健康であること):仕事も大切ですが,自身の身体や精神を労わり,自分自身を大切にすることを忘れてはいけません。仕事は大切ですが,仕事があなたの人生すべてではありません。仕事に飲み込まれてはいけないと,毎日自分に言い聞かせてください。運動することや,家族や友達と過ごす時間を大切にし,貴方の心や体,スピリチュアルを管理することで貴方は持続性とエネルギーをリチャージさせ,仕事と人生にますますやる気が出るはずです。
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