連載 誌上FD 自己決定できる「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育・12
「お決まり」のセクシュアリティに気づく
沼崎 一郎
1
1東北大学大学院文学研究科
pp.1112-1117
発行日 2010年12月25日
Published Date 2010/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101637
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前回はセクシュアリティの多様性と可変性を詳しく検討しましたが,あまりに複雑で千差万別で,頭が混乱したと感じた方もいらっしゃるかもしれません。確かに,同性愛の人もいるだろうし,性同一性障害の人もいるだろうから,言われてみれば,性自認も性指向もいろいろで,それが身体的なセックスと一致しないこともあるだろうけれど,「普通」は男か女のどちらかで,やっぱり異性を好きになるものでしょう? そんな疑問を感じませんでしたか?
そう思われたとしても,無理はありません。なぜなら,セクシュアリティについて,「男はこう,女はこう」という単純な「思い込み」が,私たちの多くの頭のなかにはあるからです。たとえば,「男は能動的で,女は受動的だ」とか,「男はヌード写真に刺激を受けるが,女は恋愛ストーリーに刺激を受ける」といった,男女二元論と異性愛を無条件に前提とする「お決まり」のセクシュアリティ観を,多くの人が知らず知らずのうちに身につけているのです。それにしても,いつの間に,どのようにして,私たちの多くは「お決まり」のセクシュアリティ観を身につけているのでしょうか?
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