連載 使いみちのない時間・23
閃影
丈久 了子
pp.896-899
発行日 2001年11月10日
Published Date 2001/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902517
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透明な膜を1枚隔てたような景色には,確かに見覚えがあった。鼻に留められたカニューレからは,絶え間なく気体が送られてくる。その気体独特の乾いた臭気にも,記憶があった。
――酸素を嗅ぐのは,医学部の実習以来だ……。
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