連載 野道を行けば・6
花に出会う
頼富 淳子
1
1(財)杉並区さんあい公社
pp.488-492
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901374
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ネジバナ(もじずり)
ネジバナのことを知ったのは15年ほども前のこと。それは銀行でもらった卓上カレンダーの写真からだった。その花は群青色のバックに1本だけすっくと立っていた。地面に直立した花の軸に白地にピンクを刷いた小さな花が螺旋状についていて,色と姿が何とも言えず優しい感じがした。花の首は1つ1つ短い緑色のがくのようなものに覆われていて,花はそのがくと一緒にねじられたような形で横向きに並んでいる。
可愛く剽軽に見える花のつき方には,きっと花の事情というものがあるのだろうが,むしろそこまでは知らずにいたいと思う。
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