発言席
医療法改正と保健活動
鏡森 定信
1
1富山医科薬科大学
pp.5
発行日 1989年1月10日
Published Date 1989/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207671
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先般発表された国民医療総合対策本部の中間報告の「老人医療の見直し」に,脳血管障害に対する医療のあり方を見直し,リハビリを重視するとの記載があったのをご承知の方は多いと思う。国民医療のなかでも老人医療がその問題の大きさからいって最も重要であり,そのなかでも脳血管障害が取りあげられたのである。今後の包括的医療サービスとして,保健・医療・福祉の連携が唱えられているが,脳血管障害は死亡率や発生率立減っても有病率が減らないこと,および発症後の有病期間が長く「寝たきり」「痴呆」の危険が高いことから,特にそれが求められている疾患である。
私達の調査によれば,地域中核病院での3か月あまりの入院後,ほとんどの脳卒中患者は退院するが,3年以内に半数あまりが再入院しており,それも元の地域中核病院でなくリハ訓練もままならぬ一般病院へ再入院し,医療サービスの水準からいえばレベルダウンしていく者が多い。心筋梗塞の患者がほとんど元の病院へ再入院あるいは通院しているのと大きく違っている。これら脳卒中患者の登録事業の成績によれば,発症後の余命は,70歳未満では半数が約9年,70歳以上では約3年となっている。また介助を要する患者は約20%であり,その半数が入院で残りが在宅である。当然のことながら,このような患者の多くは地域リハに通所できない。
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