特集 がんばれS型保健所
京都府周山保健所の地域保健医療活動
周山保健所の地域保健医療活動と保健婦活動
田原 直廣
1
,
稲波 豊子
1
,
広野 正子
1
,
日野原 恵子
1
,
安達 妙子
1
1京都府周山保健所
pp.250-261
発行日 1979年4月10日
Published Date 1979/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206106
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地域保健医療を包括化するために
—周山保健所の場合—
保健所のある所
周山保健所は,全国800余の保健所の中で,小さい方から数えて五指に入るちっぽけなS型保健所(職員19名)である。広大な面積(500km2)にわずか14,000人が京北町,美山町の2町に住む農山村であるが,京都から国鉄バスを利用すると1時間程の所にあり,人情豊かな上に,知的レベルは農山村にしては高い所で,その意味では農村型と都市型のいい面を兼ね備えているともいえる。収入源は山林,農業が主であるため若者の流出が激しく,高齢化社会の様相を呈し,65歳以上の人口が平均14%と高率である。従って,成人病特に脳卒中・がんでの死亡率が高く,高血圧で治療を受けている者が多いことは他の農村地帯と同じである。
医療機関としては,国保病院1(ベッド60床),常設診療所6が旧村単位にあり,週1〜2回開設の診療所(国保病院のブランチ)が3か所点在している。このように,一見医療機関に恵まれているようにみえるが,医療機関までの距離が,ひどい所では往復20km以上もあり,1日3本程度のバスのみでは歩いて通院することもあり得る。車の保有率は高いとはいえ,老人の通院には利用されにくい。特に冬期に積雪が多く,治療中断を招き易いと同時に,トイレ・風呂などの生活環境にも問題の多い所である。
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