活動レポート 喘息の子供と取り組む・1
東京都目黒区における転地療養事業—片貝海岸でのサンスクールの経験
山本 正子
1,2
1元東京都目黒区保健衛生部保健衛生課公害補償係
2現碑文谷保健所
pp.442-452
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206002
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1.はじめに
喘息は,一言でまとめるならば,2DKの生活に象徴されるといわれています。気管支喘息は大気汚染が根底にあるとはいえ,生活上の因子で増悪させていることがあります。都会の子供達がどんな状態に置かれているかというと,アパートや間取りの少ない部屋に,昔の生活にはなかったさまざまな電気製品や,家具を入れて空間が狭くなっています。窓には埃っぽい厚地のカーテンを掛け,それでなくても日当たり,風通しが悪いのに,すりガラスのサッシが入っています。食事はインスタント食品へ片寄り,冷蔵庫にはいつも何かがある手軽さから不規則,偏食がちになり,放課後は塾通いや,テレビを見ることが多く,戸外で遊びたくても学童の遊べる広場は少なく,核家族で子供に目届きすぎるので自立するのが遅れていまず,このような都会生活の中で,喘息児は発作に対する不安から積極的に子供集団に入ることも少なく,依頼心が強く,自主性,協調性に欠ける面が加わりますので,どうしてもこういった生活から一歩脱却して,より心身を鍛える生活の仕方を身につけてもらいたいと,目黒区では公害補償法にもとづき5泊6日の転地療養事業を実施しました。ここに経験したことを報告してみたいと思います。
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