JIM Report
臨床の知を築くために―ジャーナリングのすすめ
鶴岡 浩樹
1
,
鶴岡 優子
1
1自治医科大学地域医療学センター 地域医療学部門(ケース・ウェスタン・リザーブ大学家庭医療学)
pp.52-55
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100036
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医学研究の多くがdisease-orientedになされ,その研究手法はscience-basedに偏っている1).しかし多くのプライマリ・ケア医が,こうして導かれた知識だけでは臨床現場で生じる多種多様な問題に対応しきれないと感じている.
米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学家庭医療学教室のカート・スタンギ教授は,「これまでの医学知識は,プライマリ・ケア医にとって借り物の知識にすぎない.プライマリ・ケアの現場で難なく使える臨床の知を築き,発展させなければならない」と論じ,さまざまな挑戦を続けている.私たちは2001年から2003年に同大学へ留学し,彼の試みに興味を持ち,多くのことを学んだ(写真1).
本稿では,ジェネラリスト・ウィール(generalist wheel)と呼ばれる新しい知のモデルと,その車輪の一端を担うジャーナリング(journaling)の実践について紹介する.ジャーナリングという地道な行為が臨床の知を築くための第一歩であり,それぞれのプライマリ・ケア医がこれを実践することで,building research capacityという大きな運動につながるのである.
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