連載 保健と社会・9
生活と健康を守る地域住民運動
奥田 道大
1
1東洋大学・社会学
pp.65-68
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203807
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クローズアップされた生活妨害問題
地域住民の生活と健康を阻害する外部的要因として,さいきん,地域生活の環境的諸条件の劣悪さが,生活妨害問題というかたちにおいて,とりあげられてきています。さきに筆者が東京都区部において調査した地域生活の充足度・満足度(子供の教育,気風,物価,文化・娯楽,住宅環境の諸指標について尺度構成)の判定では,満足型33%――中間型34%――不満足型33%と,住民層をほぼ三分していました。特色は,不満足型が江東6区の下町地区および城南工場地区の労働者階級におおくみられ,実現の可能性とは別に,"線と太陽と空間"にイメージされる郊外住宅地区への移住の意志を,内蔵している事実です。
地域生活への不満足型を,環境的諸条件の面から内容的にさぐると(資料:国民生活研究所『都市の生活環境に関する実態調査』,41年1月,東京都区部1,300世帯対象),住宅困窮,日照・通風,台所のごみ・汚水の処理,子供の遊び場,公害,通勤時間などを主要指標として生活妨害の困窮度は,最高が住宅困窮と公害で2世帯に1世帯の割合です。住宅困窮は第一に同居,第二に狭小過密居住(9畳未満かつ1人当り2.5畳未満),第三に老朽住宅居住,第四に非住宅居住。
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