--------------------
赤十字家庭看護法講習とその活動の現況
菊池 チヱ子
1
1日赤宮城県支部
pp.31-33
発行日 1960年10月10日
Published Date 1960/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202189
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日赤宮城県支部で赤十字家庭看護法の普及にのり出したのは昭和22年からでした.この年に仙台市内で9カ所ほど講習会を開きましたが,その後は種々の事情で休止しておりました.私が家庭看護の普及のために当支部に参りましたのは昭和24年のこと.そのころは戦後の混乱がまだ甚しく,物資の不足もかなり根強く人の心を支配しておりました.ちようどそのころアイオン・キティ・カザリンなどの台風が次々と宮城県下の農耕地をはじめ人家をおそい,仙台市内でさえも広瀬川の氾濫で死人のでるような風水害に見舞われて,すつかり痛めつけられておりました.したがつて当時は食生活ばかりでなく,あらゆるものに満たされないものがあり,各種伝染病はかなりの数にのぼり,また結核などは人々の最も恐れる病気の1つでした.しかし患者を収容する大病院は戦災のため破壊され,患者は家庭療養を余儀なくされておりました.そこで必然的に家庭の人々は家庭の病人を正しく看護する方法を修得しなければならない状態でした.
病人から家族が伝染しないように,病人が遠慮なく療養できるように,看護者が疲れないように手順よく,しかも医師の命令を正しく行なうには,どうしたらよいかを学ぶ赤十字家庭看護法は,このような要望の中でどんどんと育つて参りました.
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.