講座
インフルエンザを語る
小島 三郎
1
1国立予防衛生研究所
pp.25-31
発行日 1957年11月10日
Published Date 1957/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201524
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かぜ,感冒其他類似疾患
古来より.人類と共にあり,幾十億の人々を禍し,また仆して,昨日迄尚正体不明のそれは上気道部に盤居して病変を営む一群の疾患である,否あつた.茲二十年程に長足の進歩を示し,今や古代よりの難題の解決をみるに至るや,久しからずの感があるとも云える.のどかぜ,はなかぜ,へんとうせん炎,咽頭炎,喉頭炎,気管支炎から肺炎迄,各自が攻撃する場所の名をつけたものの他に,漠然なる風邪気味と称するものもある.アレルギー性のもので鼻汁出したり.クシヤミするのもある.
或る少数のものは正に.物理的器械的寒冷(多湿,塵埃等)の刺激で,化学的(塩素ガス等)の影響で.或るは神経的の作用で,惹起する.枯草熱なるものがあり,抗アレルギー剤で著效を呈するけれども,上記の「かぜ」は短時間に経過するので,『早期に充分用うると』よくききますの広告につられて,成程よい薬だなと信用するもよし,用いなくても同様に早く癒るの事実に気附くもよし.
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