特集 上手な話し方
仲裁のしかた
大浜 英子
1
1東京家庭裁判所
pp.46-49
発行日 1957年5月10日
Published Date 1957/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201404
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仲裁ということを,ここではごく常識的に話すのが,わたくしにあたえられた課題だとおもいます.そこで,争いがおこつたとき,ことに保健婦という仕事の性格から,家庭のなかの人間関係が,健康上のこと,衛生の問題などで対立したり,対立しそうになつたとき,どうして正しい指導をするか,非科学的なくらしを,どう是正するか……そこに問題の中心をおいてよいのだろうと考えるのです.
ところで,仲裁ということと関連して当然に考えられるのは,調停ということです.わたくしは,むしろ調停の精神で,話しをきりだすのが保健婦さんの仕事の上では,適切ではないかとおもわれます,なぜなら,仲裁というと,ある程度,「こうだ」ときめて争いのある双方に上からのぞむと言えないこともないのにひきかえ,調停は,「こうしてはどうか」「こんな考え方もある」といつた工合に,ともに考え,ともに工夫し,争つている本人たちが,自ら決定をするようにもつてゆくゆき方です.言いかえれば,高ぶつている感情を冷却し,争つている相手のきもちにもなつてみる余裕をもたせた上で,ゆずりあつて正しいところに落付かせる助力をすることです.
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