講座
糖尿病について
吉利 和
1
1東大田坂内科
pp.14-20
発行日 1956年9月10日
Published Date 1956/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201260
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まえがき
糖尿病患者の尿が甘いということはすでに5〜6世紀以前から知られていたが,1775年にDobronがはじめて糖尿を蒸発してその沈澱の中に糖を証明したのである.その後,この糖がブドウ糖であることがわかつた.それまで尿の多い病気はすべて同一疾患と思われていたが,この糖のあるかないかによつて真の糖尿病と尿崩症とが別のものであることがわかつて来たのである.
つぎの時期は糖尿病の原因として膵臓が関係することが明らかになつた時期で,犬の膵臓摘出によつて糖尿が証明され,膵臓からホルモンが出ている,これが糖の代謝に関係するということがわかつたのであり,ついに膵臓からインシユリンがつくられるにいたつた.
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