講座
死に近ずく乳兒のすがた—事例調査と統計的観察
丸山 博
1
1厚生省統計調査部
pp.50-63
発行日 1955年2月10日
Published Date 1955/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200906
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I.発端
保健婦のなやみは,はてしなくつづく,いまから9年まえ,終戰の翌年の夏のこと,私の教え子たちが,いちはやく立ちあがつて,独自の企画で自主的に仕事をはじめた.丁度そのころはまだ,戰爭ボケで,みんながじぶんのやる仕事を,じぶんで計画して建設的にやる気力を失つていた頃であつた.すべてが,新しい権力者の命令のもとで,自主性を失つていた.そのなかで,大阪府庁の衞生課勤務の保健婦4名(上田,今中,野村,小山)は,つぎのような調査をなしおえた.これは4名の団結の力から実をむすんだものである.
いま,その頃をおもい,いま地味な仕事に,力をあわせて,じぶんたちの本務を守りつづけている保健婦のすがたを見守つていると,つい,事例や記録がふるいとか,あたらしいとか云うことに,こだわつてはいられない.すこしでも,保健婦に勇気をあたえ,明日の斗いにやくだつものであれば,なんでもやくだてたい.また炭鉱労仂者を先頭に全国の労仂者が失業にくるしんでいる.しかも,国民の健康がギセイにされてかえりみられない現状に,敢然と斗つている保健婦への援軍は,一人でも,一例でもおくる必要がある.
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