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岸和田市における乳幼兒家庭訪問事例調査報告—保健婦学習のために
丸山 博
pp.57-64
発行日 1953年8月10日
Published Date 1953/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200582
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市民生活の実態調査は,都市における保健婦活動の基礎的資料として価値がある.ところが現情はかならずしも,この価値高い資料が保健婦活動に利用されることすくない.その理由は保健所事業の内容が,とても,こんな調査をしている暇がないほどに,現場的仕事に多忙だというわけであろう.それでは過去になされた貴重な資料を活用しているかと云うと,それもいろいろな事情から充分とは云えない.ひとむかしまえのことだが筆者は昭和12-13年頃,大阪府帰和田市で乳兒死亡の実態調査をやつた経験を書つている.そのときの報告は,大阪府社会事業会館第3號(昭和14年3月)から第15號(昭和18年3月)まで,8回にわたつて連載し,のちに「乳兒死亡の実態」--岸和田市に於げる調査(昭和12,13年)--として「大阪府厚生会館叢書第1輯」で昭和19年3月発行された.ちようどその頃は第2次世界大戰の決戰の最中であり,印刷紙の統制で,印刷発行は制限され,ひろく世間の人たちに読まれることは望めなかつた.その後,筆者自身の生活も敗戰日本の国民の1人として未整理のまゝで,当時の資料を戰災からまもるので精一ぱいであつた.
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