音樂講座
パパハイドン
山本 金雄
pp.41-43
発行日 1954年8月10日
Published Date 1954/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200788
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「オモチヤ交響曲」,「びつくり交響曲」,「さよなら交響曲」といえばすぐハイドンを想い出しますが,「パパ・ハイドン」,「父さんハイドン」と呼ばれて明るいユーモラスな陽気なハイドン.音樂的には非常に重要な作曲家で,交響曲の元祖としてその形式を完成した人ですが,そういう固苦しい事よりもそのハイドンの性格をよく表した交響曲により現在迄誰にも好かれ喜ばれている,陽気な,気立のいいユーモラスなハイドンの作つた俗名のある有名な交響曲についてお話する事に致しましよう.
交響曲,つまりシンホニーはギリシヤ語の協和するという意味であつたのですが,17世紀以後管絃樂の爲に書かれたソナタの事をいう樣になりました.そのソナタの形式をつくつたのはパパ・ハイドンであります.17世紀前は唯単に伴奏だけしか使わなかつた管絃樂が,独奏用に独立した形態をつくつたのです.彼ハイドンは交響曲を実に104曲作曲しました.77才の生涯の中30年間をエステルハジー公の管絃樂団の樂長の地位にあったので,それを自由に使用し,実際に経験する事が出来た位置にあつたので,その交響曲をきく事により彼の人間性をよくつかむ事ができます.彼の明るいユーモラスな面白い陽気な性格がよく表われ人間の善良な親切な生眞面目さが出ています.
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