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春遠からじ
中野 アイ
pp.60-64
発行日 1953年3月10日
Published Date 1953/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200482
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3月の声がかかつても雪国の春はまだまだ遠い.降り止んだ雪はかちかちに氷つて,道と同じ高さの屋根の上から「御免下さい」と声をかける.それでも犬が草ぶきの屋根の上で日向ぼつこしながら吠えていたり,真赤な頬をした子供達が戯れているのを見ると,もうどこからか春はやつてくるような気がする……………….
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