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総務課長からみた保健婦
田霧 良
pp.41
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200360
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常に思う。若しも人類のすべてが健康であつて,そして保健文化の放つ香り高いヒユーマニズムの思想を,幸福に導く宗教として信仰するならば,人生は幸福に輝き,国家は地上の楽園として永遠の成長を続けることであろう。
生来健康に恵まれ未だ医薬の味を知らない私は,健康であるが故に更に一層の関心を保健衞生に向けている。こんな事由で衞生畑にとび込んだわけでもないが,既に10数年の歳月を衞生行政一筋に生きてきた。滋味のない本庁の仕事から初めて第一線の職務に就いて,過ぎたこの1ケ年,親しく保健婦諸姉に接して学び得たものは,よく働くことであり,その働きが自動的で且つ積極性に富んでいること,そして又立派な技術者でもあることだ。その昔,訪問婦,指導婦,巡回保健婦或は保健指導員などと呼ばれていた当時に比較して,それは実に驚くほど質的に向上したことである。勿論専門教育を受け,更に各種の再教育課程を経たものの多くなつたことにも超因するが,保健婦に対する世人の関心と,これに応える彼女等自身の仕事に対する努力と認職の深さに拠るところが大きいと考えられる。
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