バイタルサイン・29
急性心筋梗塞による心原性ショック
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター研究教育部
pp.844-845
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922827
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急性心筋梗塞の10-20%に心原性ショックが生じ,80%以上が死亡する.およそ50%が24時間以内に発生し,1週間以上たって現れることもある(16%).急性心筋梗塞による心原性ショックの症状を表1にまとめて示す.皮膚の所見は足指や手指で皮膚が伸びているところで診る.ふくらはぎや前腕では骨格筋の循環が保たれていて判断を誤ることがある.
病態生理を以下要約する(図1).心筋傷害によつ心室の収縮力が低下すると,1回拍出量や分時送血量が轍少する.そのために血圧が低下し,末梢組織灌流が減る.血圧下降が生じると調圧反射によって交感神経活動が充進し,ノルエピネフリンやエピネフリンの分泌が高まるので頻脈となり,また非傷害部分の心筋の収縮力は増して心拍出量を保とうとする.同時に脳や心臓以外の末梢細動脈の収縮が全末梢抵抗を高め,血液を選択的に重要臓器へ集めようとする.
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