マイ・オピニオン
患者さんと一緒に呼吸をしてみませんか
谷 美津子
1
1国立岡山病院看護学校
pp.121
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922614
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‘看護休暇がほしい──医療や社会福祉が不備な現状では,長期の病気老人をかかえやむなく退職の婦人も……’(1976年11月19日付朝日新聞)の要求運動の記事を目にとめた時,一瞬読むことをためらった.とうとう来るものが来た.
‘はい,お薬です’〈ありがとう〉‘検温をお願いします,ここに置きます’‘お食事いかがですか’〈ありがとう,半分いただいたでしょうか〉これらのやりとりは直接患者に対してのものではなく,看護婦と付き添い者との元気な手や声や表情によるやりとりである.妻か娘ででもない限り,排泄の世話になることは遠慮と慣れない便器を使用することからすっきりとした排泄感がない.看護婦なら手際よく排尿介助をやってもらえ,気持ちもよくなるのではなかろうかと,心臓は動悸を打ち,冷や汗がじっとりとにじむ.我慢できるぎりぎりのところまで我慢し,忙しげな看護婦を勇気を出して呼んだその第一声が‘付き添いさんはどうしたの’であった.‘我慢していたのネ’でもなければ‘冷や汗をかいて……,早くおっしゃってくださいネ’でもなかった.いくら努責してももうダメだった.
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