マイ・オピニオン
福祉施設での看護
石沢 生子
1
1東村山福祉園
pp.337
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922591
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私の日常の看護活動の場には,言語的表現もできず,日常生活行動の基本的動作も困難で,そのうえ難治のてんかんやいろいろな問題行動を合併している動く重症児ともいわれる子供たちがいる.保母や福祉指導員が彼らの援助者として大半を占める中に,看護婦10数名が加わっている福祉施設である.当初私は,それまでいた病院の環境とこことの大きな違いに圧倒された.そのうえ‘数多い職種の集合体で,対象者によい援助をするには,協同労働の基盤に立って,専門職の内容を高め共同作業を行うこと’という話を聞き,その中身の重大さを感じもした.
臨床看護婦のころに考えていたチームワークなどは甘い見方であったようで,ここは看護の独自性を試めされるところであり,総合的看護内容を要求されているところでもあった.協同労働のほんとうの中身を知り,‘子供たちの日常の健康管理’の役割にある看護婦の1人としての心構えを新たにした.四六時中子供たちとかかわり合うのは保母や指導員であり,非言語的表現方法にも乏しい子供,援助を要するニードも自覚できないような子供,他人の気付きを待って生命を営なまなければならないような子供が,半数以上もいる.医療的配慮も欠かせず,しかし看護ケアをも保母たちにゆだねなければならない状況の中で,健康管理のための日常的な援助的行為を行うには,チームワークは必須条件だった.
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