連載 西村かおるの訪問看護留学記—英国編・19
日本一時帰国物語(後編)
pp.720-723
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922045
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おのぼりさん怒る
確か和辻哲郎氏は『風土』の中で,長い旅の後で一番よく見えてきたのは帰国してからの日本だったというようなことを書かれていたと思う.正に私も日本に帰っていろんなことを経験したというか再発見した.
まず,自転車が怖くて歩けなかった.狭い歩道を自転車が我が者顔に走る.以前の私は何も疑問をもたず,対処していたのだろうけど,今回はうまくよけることができずに,何度も立ち止まり,また,自転車に乗っている人に,このバカ,と言われんばかりのトゲを含んだ視線に合ってびっくりしてしまった.老人や,体の不自由な人も,慣れちゃって怖くないのかなあ.しっかし,ゆとりの無い国だな,と思う.まあ,にらまれるくらいは肩をすくめてやり過ごせたけど,何より腹が立ったのは,次なる出来事が起こった時だ.
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