連載 医のなかの想い—ドクター“のぞみ”の院内日誌・9
ジョイントコンサート
小笠原 望
1
1高松赤十字病院第1内科
pp.902-903
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921810
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食卓の状差しに,少し黄色くなったハガキが1枚いつまでも置いてある.消印は‘昭和47年11月11日.弘前’で宛名は当時高校2年生の妻である.「お父さんはあの頃は,字がうまかったねえ」と言われるくらい,下書きをして書いただろう,緊張した私の文字がハガキの裏表にびっしり並んでいる.妻は,私が初めて書き送ったハガキを目の届く所に置いて「何も知らないいたいけな私に,こんなハガキで言い寄ったのよ」と,私にプレッシャーをかけているつもりなのだ.
私はその後,(妻の言葉によると)うんざりするほどの手紙を書き送った.学生時代は手紙を書くことが心の救いであり,そして宴会では歌って踊る‘田舎の芸人’だった.
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