グラフ
新たな歩みに向けて—創立1周年を迎えた在宅看護研究センター
岩下 守
,
本誌
pp.640-645
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921754
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現在,本誌で「在宅看護への道」を連載執筆中の在宅看護研究センター(代表・村松静子)が発足して,早くも1年が経過した.看護婦の自立を目指して看護婦独自の力で在宅看護の事業化に取り組んできたセンターの動向はこの間,多くの方面からの注目を集めてきた.新聞などに取り上げられる度に,患者・家族や医療関係者のみならず,企業からの問い合わせなども数多く寄せられ,思わぬ反響に,在宅看護分野への民活意欲の高まりが感じられたという.もちろん,それらの中には,在宅看護に名を借りて金儲けを企む,海千山千の企業もいくつか含まれていたようだ.
企業と手を組むことによって,看護婦としての主体性がそこなわれたり,センターの独自性が発揮できなくなっては,センターを設立した意味がなくなってしまう.かといって,訪問1件当たり5000円の料金で,ケアの質を維持しながら事業を存続させていくのは容易ではない.設立当初からセンターが目指していた研究の分野も充実させていきたい──それこそ熱意だけを頼りに,やみくもに突っ走ってきた1年間ではあるが,病院から離れて試行錯誤を重ねる中で,センターのメンバーたちは,自分たちの看護を実現させたいという漠とした夢を,そこに至るまでの戦略も含め,具体的な青写真としてイメージできるようになるまでの“現実感覚”もしっかりと身に付けてきた.
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