特集 在宅医療の新たな広がり—江東区における在宅チーム医療の展開を中心に
介護環境の整備を中心に在宅でのリハビリテーションを考える
望月 彬也
1
1江東区保健衛生部老人保健課
pp.1121-1128
発行日 1985年10月1日
Published Date 1985/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921209
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リハビリテーションの仕事にかかわり始めて5年が過ぎました.この世界に入る以前,私はある会社でスキー用具の開発に明け暮れていました.ブーツやバインディング(締め具)の素材選びから設計,そして試作品の制作と,会社に寝泊まりするような忙しさはあっても,自分なりに充実した日々でした.そんなある日,試作品のテスト中に,ちょっとした気のゆるみから骨折事故を起こしてしまいました.まだ12月中旬の積もり始めたばかりの雪の斜面でテストを繰り返すうちに転倒し,そのはずみで雪面に突出していた岩に衝突,左大腿骨転子下粉砕骨折を起こしてしまったのです.
長い闘病生活が始まりました.一時は切断も覚悟しなければならないほど状態は悪かったのですが,どうにかその事態には至らずにすみました.しかし,骨折部の治療に長い期間を要したため,大腿四頭筋および膝関節に拘縮を来し,リハビリテーション訓練の成果は思うように上がりませんでした.自分の青春を賭けてきたスキーの世界への復帰はおろか,障害者として生きていかなければならないかもしれないという危機に直面したのでした,そこで,もともと人間の体の動きとメカニックなものへの興味が人一倍強かったこともあり,自らの訓練も兼ねて選んだのが,理学療法士への道でした.
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