思春期の臨床・9
治療のあり方[2]
小倉 清
1
1関東中央病院精神神経科
pp.89-92
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919764
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試行錯誤について
人はだれでも自分で考え,判断し,決断し,そして自分の責任において何かを実行するという自由をもっているはずである.これが,ことに子供の場合には重要な意味をもってくるものと考えられる.つまり,そういう過程を経て初めて成長ということが可能になると考えられるのである.昔から‘失敗は成功のもと’ともいう.失敗することを通して人は学び,成長するのである.
ところが現在の日本では,どうも親が子供のことに手を出しすぎるきらいがある.親が先回りして,次々と物事を整えてしまうために,子供は自分で考えたり,判断したりする必要がない.やっと気が向いて何かに取りかかって,そこで失敗したとしても,それは親が悪いのだし,どうせまた親が別の物を準備してくれるだろうということになる.
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