バイタルサイン・7
呼吸[1]—呼吸数をかぞえる前に
岡安 大仁
1
1日本大学医学部呼吸器
pp.1012-1013
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919058
- 有料閲覧
- 文献概要
呼吸は,肺において酸素を取り入れ,炭酸ガスを排出するという生理現象で,これなくしては,生体のエネルギーは生じない.呼吸は,呼吸運動という現象で客観的にみることができる.呼吸運動が最もよく観察できるのは,もちろん胸郭の呼吸に伴う拡大と縮小である.
胎盤を通して,母体の動脈血で酸素が供給され,炭酸ガスを静脈を通して母体に返していた胎児が(図1),母体を出て,まず第1にしなければならないことは,吸息(吸気)による酸素の取り入れである.呼息(呼気)による炭酸ガスの排出はむしろ付随的といってよかろう(図2).どれだけの酸素量が必要かによって,吸息の量が決定されるし,どれだけの呼息量で炭酸ガスが十分に排出できるかによって,生体は呼吸量すなわち換気量を決定している.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.