脳卒中の病理・1
脳血管性疾患の基本的分類
岡崎 春雄
1
1メイヨークリニック病理解剖部,神経病理
pp.1101-1104
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918800
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はじめに
‘卒中’という言葉は,少し古くさい感じがしますが,日常語としては今でも広く通用しています.同じことを指す欧米での古い医学用語である〈apoplexy〉(英語)もギリシァ語の‘打ち(倒す)’という語源から出ていて,どちらも雷に打たれたように急に意識を失い,体が利かなくなって倒れることの多い脳血管性疾患の特徴をよく表しています.英語の場合〈stroke〉という言葉が日常広く使われていますが,これも動詞の〈strike〉からきていることはすぐ理解できます.
‘卒中’の医学用語としては《cerebrovascular accident》,略してCVA(脳血管発作)という表現があり,日本でも医師の間でそのまま使われていることは既にご承知でしょう。ただし米国の医師,ことに専門家の間では素人が‘stroke’と呼ぶのと同じだとして,CVAを毛ぎらいする人も少なくなく,最近は《cerebrovascular disease》,すなわち脳血管性疾患あるいは脳血管障害という表現がポピュラーになってきています.
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