やさしいX線写真の読み方・6
腹部写真(1)
平松 慶博
1
1東京女子医科大学放射線科
pp.645-648
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918423
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腹部X線写真の撮影
胸部写真の標準は立位・背腹方向であるが,腹部の場合のいちばん基本的なフィルムは,背臥位の腹背方向の写真である(写真1).腹部単純写真は腹痛を伴う疾患,特に急性腹症の場合に撮影されることが多い.急性腹症とは,緊急手術を必要とするか,あるいはそれらと鑑別を要する疾患群を指すが,この場合には,腸管の穿孔による腹腔内の遊離空気(フリー・エアー)や腸管の閉塞に伴う腸管の拡張と腸管内の鏡面形成などを見るために,立位が必要となることも多い.しかし立位だけではなく,立位と臥位の2枚が必要である.
立位では横隔膜をフィルム上に含むことが必要であり,臥位では骨盤腔を十分含む.こうすれば,2枚のフィルムで腹部全体を完全にカバーすることができる(写真2).
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