特集 痛みつづける患者への援助
痛みの前にふみとどまれるかが
中西 睦子
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.579-583
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918410
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はじめに
痛みの問題を考える際,少なくとも,痛み刺激,感覚,反応をそれぞれ区別して考えうることは,痛みに関する最近の多くの文献の示唆するところである.痛みの刺激は,視床を介して,大脳辺縁系に伝わるが,ここからさらに大脳皮質全域にわたる投影系路にも達する.それゆえ,視床で弁別された刺激は,同時に大脳辺縁系において情緒に色濃くそめられ,さらに高次の皮質により過去の経験をもとにした調節が加えられて,特定部位の痛みとして知覚されるという.
このように,人の感ずる痛みは,単なる生理的感覚に終わらず,情緒や過去の経験などさまざまに意味づけられた,いわば全人間的な表現として示され,それが痛み反応となって現れるのである.
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