東西南北
勘
清元 梅吉
1
,
岩田 政義
2
,
深海 周二
3
,
宇留間 鳴竿
4
1三味線演奏家・邦楽作曲家
2警視庁
3鐘紡化粧品研究所
4アマチュア・アングラース・クラブ
pp.9
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917583
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- 文献概要
勘所と言う言葉があるが,指先に全神経を集中させてその勘所を押える,これが私の仕事で最も重要なことなのだが,体調の悪い時などはその勘が狂うこともある。人間だから仕方がないことだが,プロとしてどんな時でも,その勘だけは正確に動くように心がけているが,非常にむずかしいことである。私の行くある病院で休院日の翌日に,看護婦さんに注射をしてもらうと全く痛くなくスムーズに針が入る。ところが休院日の前日は注射が痛い時がしばしばある。やはり毎日の看護で疲れが出る所為だと思う。勘と言うものは自分しかわからぬものであるから,常に勘を訓練しなくてはならないが,遠くの勘と近くの勘がある。近くの勘をつかうわれわれは手,または指先を敏感にしておかなければ,よい勘は掴めぬはずだ。そのためには重い物を持つことはさけ,お手玉,針仕事などをやるのもその一つだと思う。そして一番大切なのは睡眠をよくとることだ。
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