ベッドサイドの看護
診察時に患児を泣かせないコツ
渡部 佳子
1
1慶応義塾大学病院小児科外来
pp.64-68
発行日 1972年1月1日
Published Date 1972/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917560
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看護技術の最たるものは,応用とか創造性ではないだろうか.成文化された看護手順などは,さまざまな形の個々に対して,どのように具体性をもたせ,あてはめてゆくか,応用,創造してゆくかという手がかりを得るところに意義がある.看護技術ではさらに人間性とか人柄が,熟練とか慣れ以上にものをいう場合もある.したがって診察時の‘泣き’に対しても個人差があり育ってきた家庭的背景,育児態度,年齢,性別,知能程度など,いろいろな要素がかかわり合うため画一的には処しがたく,絶対泣かせないということは困難である.特に過保護のような育て方,しつけに問題がある場合や,過去に痛めつけられた経験のある場合などは,なだめるとかえって激しく泣き叫びむずかしいことが多い.
診察時の‘泣き’は病棟よりも外来において問題となる.外来での看護を考える場合,診察,検査,処置介助,看護行為はいうに行ばず,小児や家族の不安の除去,励まし,また,その小児の特性を知って,ごく短い時間に親子のおかれている状況や問題点を,多面的,総合的にとらえて対処するという創造的要素が必要であり,保健指導,生活指導およびケースワーカーや慢性疾患友の会への紹介などの働きかけがすべて包含されるわけであるが,外来の機能が主として診療を軸として動いているのであるから,診療をスムーズに運び,落ち着いて援助指導を行なうためには,乳幼児をいかに泣かせないように配慮するかが重要な看護行為となる.
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