老人相談コーナーの目
がん患者と非がん患者の死と家族
田中 多聞
1
1東京都老人総合研究所
pp.608-609
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917270
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がんの患者をもつ家族の相談には,ひとつのパターンがある.(1)手術をしたほうがいいだろうか.(2)いつごろまで生きられるだろうか.(3)苦しませたくないので方法を教えて欲しい,などである.積極的に治療(多くは手術)を受けさせるべきか,それとも安楽な死を迎えさせたほうがいいか?いずれにしろ,家族は死を待つ間の心の準備と残務整理などを,定められた時間内でテキパキと片づけねばならない.
がん患者と非がん患者の家族の臨死期間における人間としての基本的姿勢の差にもパターンがある.前者では,苦痛を見るにしのびない,苦しみから家族も逃がれたい,死は約束した日に大した間違いもなくやって来る.しかも患者に死を悟らせないように家族全体に強い配慮が求められる.財産などの整理を患者に気付かれないようにしなければならない,その方法は?
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