特集 どういかす業務分析
業務分析・業務測定—その理論的背景と応用
田中 恒男
1
1東大医学部保健学科
pp.10-15
発行日 1970年5月1日
Published Date 1970/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914867
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前提
労働条件の改善が,単に労働者にのみ有利であればよいという考え方──一時代前の労働運動意識で,もし労働条件を改善しようとしたら,読者諸姉はどう反応するだろうか。われわれは離れ小島にいるのではないから,そのために周囲の人が迷惑をうけるような状況では,改善という意味は多くの場合失われよう。業務分析とか業務測定が何のために行なわれるかを考えるはじめに,まず今の点をよく考えてみていただきたい。
医療の社会は,正直いって大変独特な世界である。医療産業とよばれる(某社から同名の本が先頃出版されたが,あの本の用法はここで扱う意味と全く違う)病院組織が,同じ産業とよばれる他の職域とはなはだ異質な方法論で運営せざるをえない,という点にも,そのことは反映している。consumerというか,サービスをうける人というか(アメリカでの一般的な用語として),とにかく人中心の産業であり,扱っているものが,何ものにもかえがたい生命であるという点で,本質的な違いを生んでいる。
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