ヨーロツパ見聞記
目を開いて世界を—ICN大会参加旅行に得たもの
内田 卿子
1
1聖ルカ国際病院
pp.59-60
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913749
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旅立ち,西ドイツからフランスへ
6月11日午後10時30分,羽田をあとにした。飛行機は途中アンカレッヂで翼を休め,そのまま西ドイツのハンブルグに向って飛びつづけた。窓外は真青な空ばかりではるか彼方に雲が浮んでいる。氷原が眼下に拡がり,いよいよ北極圏通過,やがて氷原が切れ,高低のある雪山?がつづく。フィンランドの上空だとの放送に改めてヨーロッパにきたと言う感をかみしめた。
やがて地面が盛り上るように近くなり,雲の下から暗く沈んだ赤い屋根と濃い緑の森が鮮かに浮上ってくる。いよいよハンブルグ上空である。現地時間の12日午前7時7分気温10度のうすら寒い静かなハンブルクの朝に,ヨーロッパの第一歩を記したのである。ハンブルグは美しい人造湖のアルスター湖をはさんだ静かな市である。湖畔は高級別荘地で白い建物の窓という窓に花が色とりどりに飾られ絵のように美しいたたずまい。教会の尖塔は天をつきさすばかりに高く細くそびえていた。翌日,ハンブルグを発ち,フランスのオルリー空港に向う。
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