医学と看護・10月のテーマ
乳幼児肺炎
豊口 昭夫
1
1札幌医大・小児科
pp.49-52
発行日 1967年10月1日
Published Date 1967/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913309
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はじめに
肺炎が,子をもつ親に最も恐れられた時代は過ぎて,最近はむしろなおりゃすい病気として受けとられるようになってきたのは喜ぶべきことである。この50年間にわが国の乳児死亡率の低下は目をみはるばかりであり(その一因として,生後間もなくの死亡のかなりの数が死産として届けられ,実は乳児死亡の統計から除かれていると指摘されてはいるが),その低下に最も貢献しているのは,乳児の栄養法の進歩と抗生物質の登場による感染症の克服とであろう。しかし,第1表に示す如く,全体としての死亡率の減少に比較して肺炎死の減少は遅れており,下痢腸炎による死亡の減少に比較すると甚だ成績が悪い。一般の印象とは逆に,肺炎は小児科臨床上,特に乳児において,いまだ重要な座をしめているといえる。
肺炎一般に関する臨床的事項は成書にゆずり,まず肺炎の小児を診療するにあたって注意すべき点についてあげてみたい。
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