医学と看護8月のテーマ
白色便性下痢症あるいは仮性小児コレラ
岩波 文門
1
,
吉岡 重威
1
1東京医科歯科大学
pp.53-57
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913243
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はじめに
本症は1906年坂本が小児コレラとして記載し,ついで1910年伊東により,従来の小児コレラ(Cholera infantum),すなわち現在の消化不良性中毒症と思われる疾患に類似してはいるが,全くこれとは異なる疾患であるとして仮性小児コレラ(Pseudocholera infantum)と命名されたものである。本邦ではこのほかに小児あるいは乳児仮性コレラ,白色便性消化不良症あるいは下痢症,白痢,秋期吐瀉症,または九州地方で新米のとれる季節に多発するところから新米下痢などとも呼ばれている。
欧米においては本症に相当する病名の記載は成書には見当たらないが,Epidemic abdominal colic associated with steatorrhoea,Winter vomiting disease,Epidemic steatorrhoeaなどが本症に近い疾患ではないかと老えられている。
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