連載 看護の思想・11
拡大する医学
青木 茂
1
1東京女子大哲学科
pp.77-82
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912672
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第一節 医療と社会
昭和40年度の予算案審議に際して「中央社会保険医療協議会」(中医協)(厚生大臣の諮問機関)の医療費決定が39年内にまとまらず,保険者,被保険者などの支払者代表と,医師,歯科医師,薬剤士の医療担当者代表(会議にはこれに公益代表の委員も加わる)の間に鋭い意見の対立があり,その調停が不可能で公益代表委員が辞表を提出したという事実は記憶にあたらしいであろう。
「協議会」とは名ばかりで,「中医協はケンカの場」というのがすでに常識となった新聞評である。この協議会の混乱と対立,あるいは「圧力団体」というかんばしからぬ名前の実例として高校社会科の授業できまって引合いに出される「日本医師会」の動きは,現代日本の医療行政がはらむ問題を集中的に表現しているといってよい。
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