Nursing Study
後腹膜気体送入法(あるいは気後腹膜法)—Pneumoretroperitoneumについて
山田 瑞穗
1
,
杉浦 美恵子
1
,
中田 洋子
1
,
白鳥 勝子
1
1島田市民病院泌尿器科
pp.29-33
発行日 1961年12月15日
Published Date 1961/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911524
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I.はじめに
レントゲン診断法は医学にとつて不可欠のもので,近年その進歩はめざましいものであり,泌尿器科においても,腎臓を描出するために酸素を後腹膜腔に送入する表題のような名で呼ばれる新しい方法が行なわれるようになつて来た。この方法は本邦に紹介されてまだ日が浅いために,一般にはまだ十分に熟知されていないように思われるので,ここにその実施法・介助法・看護法について述べて参考に供したいと思う。
Ⅱ.目的ならびに歴史 レントゲン診断とは,レントゲン透過性の差によつて臓器の影を捉えるものである。ところで腎臓は実質性臓器であるので,単純撮影・排泄性腎孟撮影によつて腎の影像が得られることもあるが,一般にはその影像を描出することは容易でない。腎臓の輪郭を描出しようとの試みは種々行なわれたが,1921年Rosensteinによつて,腰部から腎臓周囲に空気を入れる,気腎法(Pneumorenプノイモーレン)と呼ばれる方法が発明され,一般に用いられていた。しかしこの方法は,両側から別々に2回穿刺送入を行なわねばならず,腎臓のすぐ近くに針先が達するので,腎臓自身や血管を損傷して出血したり,空気栓塞をきたす危険,疹痛,十分な影像の得られないこともある等々の欠点があつた。
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