臨床検査とその介助
基礎代謝検査
小池 繁夫
1
1東大中央診療部
pp.63-67
発行日 1961年10月15日
Published Date 1961/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911495
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1.はじめに
基礎代謝検査は,古くから行なわれており,基礎代謝の上昇はバセドウ氏病を示し,低いものは粘液水腫を示すということは衆知のことと思われる。しかし,現在でも,以上2疾患に留まらず多数の疾患において,診断・予後・治療についての有力な資料を提供するものとして,広く行なわれている。また,検査法も,機械の発達とともに簡略化され,看護婦,技術員でも,わずかの訓練で,正確なデーターを多くの被検者について,短時間で測定算出されるようになつた。たとえば,われわれの検査室では技術員2名,基礎代謝計2台(無水式),ベッド8の条件で,毎日午前中に16名の検査算定を終わる。これは機械の進歩によるところがきわめて大きく,計算その他も後に述べるごとく,便利な表,図,特殊計算尺などを用いることが可能になつたためである。しかし,いたずらに技術だけ修得すればことたりるものではなく,その原理を知つて,実際の方法がどの点で簡略化され,かつ,どんな仮定に基くかを知つているのでなければ,データーの不正確をまねくのは当りまえである。そこで,まず基礎代謝測定の原理について述べよう。
2・基礎代謝測定の原理
基礎代謝量とは,絶対安静空腹状態で,早朝静臥しているときに,生命を維持するに足る必要最少限度のエネルギー量をいい,基礎代謝率とは,被検者基礎代謝量(A)と被検者と同性同年令,同体表面積の基礎代謝量(B)との比較で,次式で表わされる。
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