職業的調整講座・4
人間はこうして磨かれる(2)
古屋 かのえ
1
1国立東京第一病院附属高等看護学院
pp.22-25
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911279
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2.しつけ
さて「しつけ」というのは,仕付ける,ということで皆さまご承知の,あの新調の衣服の仕立がくるわぬように,上から縫いとめておく,あれも躾である。一般には起居動作,礼儀作法などについて,外部的に習慣を得させることであり,人間の本能,衝動などを抑制して,社会生活に適応した善良な習慣を身につけさせることを言うのである。(習慣については前回に述べた)
わが国においても古くから躾ということは重んじられており,ことに武家社会ではこの躾がきびしく,室町時代から江戸時代には種々な「教訓書」「躾方教科書」が沢山出版された。そしてその多くは,勧善懲悪の態度をもつて,しかも与えられた境遇を甘受し,不平不服を戒め,勉め励みかつ勤倹貯蓄せよ,という見解をもつたものがそのほとんどであつた。
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