扉
新しい4月
pp.1
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911069
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日本では,4月といえば国華桜の花の開く季節であります。その優雅な美しさは誰の胸にも刻みつけられているなつかしい想いと共にいつまでものこるものでありましよう。
寒い冬をすぎ,暖いそよ風に新しい芽がふき出して,春のいぶきを全土にみなぎらす時です。氷の下にじつとしていた魚も水がぬるんでスイスイと水面まで泳ぎだします。冬眠していた小鳥も獣も,長い眠りからさめて,たのしそうに歌いまくり,生き生きと活動しはじめます。人間の世界でも,重いコートを脱ぎすてて,身軽になり,心の緊張もゆるみ,のどかになつて来ます。会社も役所も新しい年度のはじまりで仕事の刷新が行われ,区切りのよい月です。学校という学校は幼稚園から大学まで,皆門を開き,新入生を迎え,進学し,学窓生活も革新されます。胸にハンカチと名札をつけて,小さな胸を大きくはつて1年生が小学校の門をくぐるのも4月です。
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