臨床検査とその介助・6
肺機能検査とその看護(1)
金上 晴夫
1
1東北大学抗酸菌病研究所
pp.32-38
発行日 1959年12月15日
Published Date 1959/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910978
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Ⅰ.はしがき
肺の機能検査とは肺の生理的機能を検査してその障害の有無及び程度を診断し,肺疾患の診断や治療効果の判定及び肺手術の適応の可否等を診断する検査を云う。過去十数年間に於ける肺生理学の進歩は著しいものがありそれにつれて肺機能検査も亦めざましい進歩発達をとげた。そこで私は①肺機能検査とは如何なる事を検査するのか,②肺機能検査は臨床的に如何なる意義を有するか,③現在如何なる肺機能検査が行われているか,について述べたいと思う。以上の事についてのべる前に一応「肺の機能とは何か」について理解して頂きたい。肺の機能は基本的には呼吸機能で,すなわち肺に入つた静脈血を肺胞毛細管膜におけるガス交換によつて動脈血化し左心に還すことであるが,その過程として換気(Ventilation)分布(Distribution)拡散(Diffusion)肺循環(Circulation)の4つの機能に分けられる。
換気機能とは外界の空気が肺の中に出入りする事で肺活量や分時換気量が之に入る。次に換気機能によつて肺内に入つた空気が,肺胞内に分布する事を分布機能と云う。肺には約7億個の肺胞があるので肺胞内のガス分布状態は厳密にいえば健康者でも均等ではないが気管支拡張症や肺気腫では特に高度に分布機能が障害される。
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