新看護学
肝臓疾患の病態生理(3)
阿部 正和
1
1慈恵会医科大学
pp.65-71
発行日 1958年9月15日
Published Date 1958/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910697
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1.肝臓機能検査法
肝臓の機能の特徴として,代償機能(予備力)が旺盛であることについては前述した。この特徴があるため,肝臓組織の一部分が健全であれば,正常の機能を示すことがある。従つて,肝臓の癌,又は膿瘍のような限局性の病気では,残存している正常組織が正常に近い機能を示していると,いくら機能検査を行つても病的な成績が得られない。この事実は,肝臓の機能検査を行う場合に十分に注意しておかねばならないことである。
次に肝臓の機能は多種多様で,解離性がみられるということも十分注意を要する。既に述べたように,肝臓の機能はいろいろなものがあり,どれもこれも一様に障害されることはなく,ある1種類の機能が障害されているのに,他の機能は案外犯されていないということがある。この場合には犯されている機能についての検査を行えば,病的の結果が得られるが,犯されていない機能についての検査を行つたのでは,当然病的の結果が得られない。すなわち,肝臓の機能検査は,ただ1種類の検査を行つた結果から判定すると,とんでもない誤ちを犯すことになる。
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